設立趣意

 日本国は、戦後急速な経済発展を遂げ、今や世界経済の中で主要な地位を占めるようになった。

 しかしながら、その裏側では、長時間労働・過重労働を強いられた働く人たちの犠牲があったことを忘れてはならない。経済発展のために家庭を巻き込んで、働く人たちの命や健康が軽視されてきたのである。

 1988年6月、「過労死110番」電話相談を契機に、過労死という言葉が広く知られ、社会問題として関心を集め、「karoshi」として国際的に通用するようになった。それと並行して、過労死を労災として認めさせる運動も進められてきた。

 この北海道においても、過労死遺族や当事者のみならず、医師、弁護士、研究者、労働団体など多くの市民がこの問題に取り組み、過労死等を予防し、あるいは被災者を救済することに尽力してきた。

そして、こうした過労死に取り組む人たちのたゆまぬ努力により、2014年6月、過労死等防止対策推進法が成立した。

 同法の施行を受けて、「民間団体」として、全国過労死を考える家族の会や過労死弁護団全国連絡会議と連携し、過労死等の防止に取り組むため、過労死等防止対策推進全国センターが結成され、過労死等を防止するための啓発活動が国を挙げて実施されるようになった。

 しかしながら、同法施行から3年以上経過した今もなお、過労死等は減少しておらず、労災申請件数は増加の一途を辿っていることから、過労死等防止対策推進全国センターの役割は大きくなっている。

 そして、このことは、北海道においても同様であり、過労死等の予防と救済という目標に向けて、各団体・組織の連携を図り、過労死等防止のための啓発活動を行うほか、過労死110番、ロビイング、経験交流、街頭行動等、様々な方法で活動する主体が強く求められている。

 私たちは30年前からその活動を担ってきた先人の実践を引き継ぎ、さらにその輪を大きく広げて、過労死などという言葉が不要となるよう、ディーセントワーク(働きがいのある人間らしい労働)の実現を目指すものである。

 よって、ここに、過労死等防止対策推進北海道センターを設立する。


代表幹事

川村雅則(労働経済学研究者 北海学園大学)

佐々木 潤(弁護士 三木・佐々木法律事務所)