地方自治体における非正規公務員・公共民間労働問題
当センター代表の川村雅則の原稿の紹介です。
原稿の文頭を紹介します。詳細はリンクをご覧ください。
1.はじめに
新型コロナウイルス(以下、コロナ)禍で注目されたエッセンシャルワーカーの非正規問題という本号の特集の中で本稿に与えられた課題は、地方自治体における非正規公務員と、自治体発注の建設工事・委託業務・指定管理など公共民間労働者に関する制度問題の報告である。両者は、自治体が提供する公共サービスに従事する労働者とくくることも可能だろう。
両者をセットで取り上げるのは、自治体は、住民への公共サービスの提供に、公務員のほか、多くの民間事業者・労働者を必要とする。自治体の非正規公務員はいまや全国で100万人を超える。この問題への取り組みは当然不可欠だが、もう一つの安上がり手法であるアウトソーシングを誘発するおそれが高い。その際に用いられる競争入札制度は、労働条件の悪化を招くだろう。しかもそれが「最少経費最大効果」規定で正当化されている。両問題にはセットで取り組むこと、とくに公共サービスの産業化が強力に進められる状況下では公契約条例の制定を提起したい。
補足すると、第一に、エッセンシャルワーカーという言葉で想定する職種の範囲は人によって様々だろう。本稿でも、仕事のもつ社会的有用性にもかかわらず低い労働条件で働かされているという点にフォーカスした言葉として使っている。
第二に、民間非正規の現状や法制度も視野に入れる。新たに導入された非正規公務員制度には欠陥が多く、せめて民間非正規の制度設計が必要であり、その実現には公務と民間(以下、官民)の労組の連携が必要である。
最後に、本稿では、各種の取り組みを進める上での基礎となる情報の収集・整理作業を提起している。詳細は、参考文献にあげた拙稿を参照されたい。
2.拡大する非正規公務員と、その把握という課題…
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